トランス脂肪酸Q&A
「トランス脂肪酸」や「部分水素添加油脂(PHOs)」について、内閣府の食品安全委員会の見解などをもとにお答えします。
あぶらには常温で液体の油と固体の脂があり、まとめて油脂(ゆし)と呼んでいます。
油脂は脂肪酸とグリセリンという分子からできています。この油脂や脂肪酸、グリセリン等をあわせて脂質と呼んでいます。
脂肪酸は炭素(C)の原子が鎖状につながった分子で、その鎖の端にカルボキシル基(-COOH)と呼ばれる構造をもっています。
脂肪酸は大きく分けると、炭素間の二重結合がない飽和脂肪酸と炭素の二重結合がある不飽和脂肪酸に分類されます。
脂質は、重要な栄養素で体に欠かせないエネルギー源であるとともに、細胞膜の主要な構成成分になります。
しかし、摂りすぎると生活習慣病を引き起こす恐れがあるので、いろいろな食物をバランスよく摂ることが大切です。
不飽和脂肪酸には炭素間の二重結合の構造の違いにより「シス型」と「トランス型」の2種類あり、「トランス型」の不飽和脂肪酸をトランス脂肪酸と呼びます。
Q.
トランス脂肪酸はどんな食品に含まれていますか?
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トランス脂肪酸には、天然の食品に含まれるものと油脂を加工、精製する工程でできるものがあります。
牛などの反すう動物の胃の中で微生物の働きによってトランス脂肪酸がつくられます。そのため牛肉、羊肉、牛乳、乳製品などに含まれます。
油脂の加工品では、マーガリン、ショートニング、また、それらを原料にしたパン、ケーキ、ドーナツや揚げ物などに含まれます。
植物からとった油も好ましくない臭いを取り除くための高温処理でトランス脂肪酸ができるため、サラダ油などにも微量含まれます。
Q.
トランス脂肪酸の摂取状況について教えてください。
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日本でのトランス脂肪酸の平均摂取量は、0.7~1.56g/日(エネルギー比0.3~0.75%)であり、これらの結果は、いずれも世界保健機関(WHO)の勧告(目標)基準である「総摂取エネルギー比1%未満」となっております。
これは、欧米等の諸外国に比べても少ないレベルであり、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられています。
しかしながら、脂質に偏った食事をしている人は、注意が必要です。
Q.
トランス脂肪酸の健康への影響は?
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現在の日本人におけるトランス脂肪酸摂取量の平均では問題はないとされているものの、長い間多く摂りすぎると心臓病のリスクが高まると言われています。
具体的にはトランス脂肪酸をとる量が多いと血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増え、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が減ることが報告されています。
脂質の多い食品を食べすぎないなど偏った食事をしないことが重要です。穀物、肉類、海産物、野菜、果物、乳製品などさまざまな食物をバランスよく摂ることが大切です。
Q.
『帝国ホテル ホテルマーガリン』には、どの程度トランス脂肪酸が含まれていますか?
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『帝国ホテル ホテルマーガリン』にはトランス脂肪酸がマーガリン100g当り0.5gふくまれています。(農林水産省登録認定機関の分析)
1食の量をおおよそ10gとすると、約0.05gのトランス脂肪酸が含まれていることになります。
この量は、日本でのトランス脂肪酸の平均摂取量(0.7~1.56g)と比べても、非常に低い量と言えます。
Q.
部分水素添加油脂(PHOs)※とはどんなものですか?
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油脂の硬さ(融点)を調整する目的で、水素添加処理により不飽和脂肪酸の二重結合の一部を一重結合とすることで物性を改質した加工油脂を指します。
<※ PHOs:Partially Hydrogenated Oils の略称>
米国FDAは、工業的に生産される部分水素添加油脂(PHOs)にはトランス脂肪酸が多く含まれていることから、2015年6月にGRAS(従来から使われており安全が確認されている物質)ではないとして、食品に使用するためには新たな承認が必要(2018年6月18日~)と決定しています。
Q.
『帝国ホテル ホテルマーガリン』では、部分水素添加油脂(PHOs)を原料油脂として使用していますか?
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『帝国ホテル ホテルマーガリン』は、トランス脂肪酸を多く含む部分水素添加油脂を使用しておりません。
1996年(平成8年)にリニューアルを行っており、その時から現在に至るまで部分水素添加油脂を使用しておりません。